放射線についてもっと詳しく知りたい方へ
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ICRP(国際放射線防護委員会)
ICRPは、専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う国際組織です。
ICRPは、主委員会と四つの専門委員会(放射線影響、誘導限度、医療放射線防護、委員会勧告の適用)からなり、ICRPが出す勧告は国際的に権威あるものとされています。
国際原子力機関(IAEA)の安全基準や世界各国の放射線障害防止に関する法令のきそにされており、わが国の放射線防護の考え方や法令に取り込まれている数値は、ICRPの勧告が基本となっています。
ICRPは新しい知見に基づいて被ばくの許容数値をたえず見直しており、1934年に初めて「耐容線量」の値を発表して以降、1950年には「最 大許容線量」の値を勧告し、1977年に「実効線量当量限度」、1990年には放射線被ばくに伴うリスクの最新データを取り入れた「実効線量限度」と放射 線防護に関する基本的な考え方を勧告しています。
現在、2007年勧告が発表され、放射線防護の正当化、最適化及び線量限度の原則が維持されているほか、新たな知見に基づく被ばく状況の再整理等の変更が行われています。
原子力防災基礎用語集 (公益財団法人 原子力安全技術センター発行)より
原爆被爆者の被爆時年齢別相対リスク表
がん・白血病について、原爆被爆者の被爆時年齢別相対リスクの表を示します。
男性(mSv) 女性(mSv)
年齢(歳) | 5~500 (被ばく線量) | 5~1000 | 1000~4000 | 5~500 | 5~1000 | 1000~4000 |
0~9 | 0.96 | 1.10 | 3.80 | 1.12 | 2.87 | 4.46 |
10~19 | 1.14 | 1.48 | 2.07 | 1.01 | 1.61 | 2.91 |
20~29 | 0.91 | 1.57 | 1.37 | 1.15 | 1.31 | 2.30 |
30~39 | 1.00 | 1.14 | 1.31 | 1.14 | 1.21 | 1.84 |
40~49 | 0.99 | 1.21 | 1.20 | 1.05 | 1.35 | 1.56 |
50以上 | 1.08 | 1.17 | 1.33 | 1.18 | 1.68 | 2.03 |
男性:左2~4列、女性:左5~7列
出典:Preston et al. Radiation Research vol.168, 1, 2007
この表は、相対リスクを表わしていますので、被爆していない集団との比較になります。 数値が1に近ければ、被爆していない集団とリスクは同じぐらい、大きければ被爆していない集団よりリスクが高いということになります。
0~9歳児では、5~500 mSv(ミリシーベルト)の被ばくで0.96なので差が見られませんが、500mSv以上の被ばくでは増加していることがわかります。女性も同様の傾向が見られます。
50歳以上では、500mSv以上の被ばくでは増加傾向が明らかですが、0~9歳児ほどではありません。
子供が成人よりも2~3倍感受性が高いと言うのは、0~9歳児と50歳以上の成人とを比較して言われるものです(男性:3.80/1.33 =2.9,女性:4.46/2.03 =2.2)。
なお、「リスク」を言う場合は、がん、白血病、遺伝性影響に限ります。ここでは、がん・白血病と断っているので、遺伝性影響は入りません。
遺伝性影響については、※放射線影響研究所等で別途に評価されていて、影響は無いと結論されています。
※放射線影響研究所では原爆被爆による健康影響について、継続した調査研究が行われており、ホームページ http://www.rerf.or.jp/でも詳しく紹介されています。
しきい値のない直線モデル(LNTモデル)
長年にわたる放射線の健康影響調査から、100ミリシーベルト以上の被ばくでは、被ばく線量が増加するとがんの発症率が増えることがわかっていま すが、それ以下の被ばく線量では、他の多くの発がん原因や個人の生活習慣の違いなどによる差が大きいので、発がんリスクを明確にすることは出来ません。
※ICRP(国際放射線防護委員会)では放射線から人を守ることを考える場合、安全のために低い線量でも少ないけれど発がんの確率があると仮定して、対策することを勧めています。この考え方を「しきい値のない直線モデル」、あるいは「LNTモデル」と言います。
よくLNTモデルを使って、どんなに低い被ばく線量でも発がんリスクがあるという人がいますが、これはあくまで人を放射線から守るために、より安 全に考えた仮定であって、現在の生物学・医学ではっきりと確立されているわけではありません。(数十ミリシーベルトにしきい値があるとする考えもありま す。)
ストロンチウム-90(90Sr)
ストロンチウム90は半減期が29.1年でベータ線を放出してイットリウム-90(半減期2.67日)となり、イットリウム-90もベータ崩壊してジルコニウム-90となります。人工の放射性物質として知られますが、ウラン鉱の中で、ウラン238(238U)の自発核分裂によって生じることもあり、生成は少量です。
ストロンチウムの化学的、生物学的性質はカルシウムと似ており、化合物は水に溶けやすいものが多く、体内に摂取されると、一部はすみやかに排泄されますが、かなりの部分は骨に取り込まれ、長く残留することになります。
イットリウム-90が高エネルギーのベータ線を放出するため、ストロンチウム-90は健康影響が大きいとされています。10,000ベクレルのストロンチウム-90を経口摂取した時の実効線量は0.28ミリシーベルトになります。
主な体内摂取の経路としては牧草を経て牛乳に入る過程で、土壌中から野菜や穀物などに入ったものが体内に摂取されることもあります。
原子炉の運転では、放射性ストロンチウムの放出はほとんどありませんが、炉心が破壊された場合などは大量のストロンチウムが外に放出されることになります。
チェルノブイリ原発事故では、8,000テラベクレルのストロンチウム-90が放出しましたが、福島第一原発事故では、炉心の破壊は爆発的でなく溶融だったのでその約60分の1の140テラベクレルとされており、文部科学省の調査結果では、地上に降下した放射性ストロンチウムの量は放射性セシウムの1000分の1程度で、影響もセシウムの1万分の1程度だそうです。
電離作用(でんりさよう)
放射線が物質の中を通るとき、そのエネルギーによって原子が持つ電子(e-)がはじき出されて、プラス(+)の状態の原子や分子(陽イオン)と電子に分かれることを言います。トリチウム
トリチウムは半減期が12.3年で、非常に低いエネルギーのベータ線を放出して、ヘリウム-3(3He)になる放射性物質です。
トリチウムは水素の放射性同位体で自然界にも存在します。現在、降雨中のトリチウム濃度は1リットル当たり1~3ベクレル程度ですが、大気圏内の核実験が頻繁だった1960年代には100ベクレル/リットルにもなったそうです。
トリチウムは水素の原子核に中性子が2個くっついたもので、化学的な性質は水素とほぼ同じになります。水素が水素ガスあるいは水として存在するように、トリチウムは「トリチウムガス(HT)」または「トリチウム水(HTO)」として存在し、体内では主に水として代謝されることになります。
水素(トリチウム)ガスが肺に入った時は、0.005%程度しか吸収されませんが、気体中の水(トリチウム含む)は100%が体内に取り込まれ、取り込まれたものは約2ヶ月の間に排出されることになります。また、体内に入っている水素(トリチウム)は全身に分布し、特定の器官には濃縮されません。
トリチウムから出されるベータ線による外部被ばくの影響については、Q&A 6の「2.ベータ線の外部被ばくによる皮膚の線量」をご参照ください。トリチウムのベータ線もセシウムのベータ線も影響は同じになります。
トリチウムから放出されるベータ線は、体内への取り込みによる内部被曝が問題になりますが、トリチウム10,000ベクレルを含む水を経口摂取した場合でも実効線量は0.00018ミリシーベルトで、現状ではこのような被ばくは考えられません。
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